日本文化人類学会賞・学会奨励賞歴代受賞者一覧

更新:2016年03月30日



第11回日本文化人類学会賞・日本文化人類学会奨励賞の授賞について

2016年03月30日

第26期会長 関根康正

 本学会では、2005年度以来、文化人類学会員による研究活動を活性化させることを目的とし、優れた業績をあげた会員に対して「日本文化人類学会学会賞」と「日本文化人類学会奨励賞」とからなる学会賞を授与してきました。 日本文化人類学会学会賞は、「日本文化人類学会会員による研究活動の活性化のために、会員の中から近年の研究活動において著しく優れた業績をあげた者を原則として1名選出し授与する」(「日本文化人類学会学会賞選考規則」)ものです。受賞者の選考においては、学会賞選考委員会に対し、まず評議員会が投票によって複数の候補者を推薦します。次いで学会賞選考委員会は、それらの候補者の中から1名の候補者を選考して理事会に推薦します。理事会は、学会賞選考委員会からの推薦に基づき、投票によって受賞者を決定します。
 他方、日本文化人類学会奨励賞は、「日本文化人類学会の若手研究者による研究活動の活性化のために、過去2年間に、研究活動においてもっとも優れた業績をあげた若手研究者を原則として1名選出し」、授与するものです。原則として対象論文掲載時に満35歳以下の会員を受賞資格者とします(ただし、年齢制限については研究歴を考慮します)。受賞者の選考においては、過去2年間の学会誌『文化人類学』およびJapanese Review of Cultural Anthropologyに掲載された論文の執筆者のうち、受賞資格者の中から、学会賞選考委員会がもっとも優れた者を原則として1名選考して理事会に推薦し、その推薦を受けた理事会の投票によって受賞者を決定します。
 以上のような両賞の趣旨と選考手順にもとづき、厳正な選考を行った結果、2016年度は各賞の受賞者をそれぞれ次のように決定いたしました。
第11回日本文化人類学会賞受賞者 清水展会員
第11回日本文化人類学会奨励賞受賞者 佐藤若菜会員

 授賞理由につきましては、第50回研究大会における学会賞・奨励賞授賞式終了後に掲載いたします。


第10回日本文化人類学会賞の授賞

2015年05月31日

 日本文化人類学会は第10回日本文化人類学会賞を浜本満氏に授与することとした。
(授賞対象業績)
『信念の呪縛―ケニア海岸地方ドゥルマ社会における妖術の民族誌』(2014年、九州大学出版会)を代表作とする人類学的理論構築に関する一連の業績
(授賞理由)
 浜本満氏は、ケニアのドゥルマ社会において30年にわたり調査を実施してきた。個別事例の民族誌的記述と理論的分析の両者を説得的・効果的に接合しようとする浜本氏の研究姿勢は初期の論稿から新著『信念の呪縛』(2014年)に至るまで一貫しており、浜本氏の一連の研究が多くの研究者や学生を魅了し、高度な知的刺激を与え続けてきた点は高く評価される。
 浜本氏は物象化論やイデオロギー論、現象学、分析哲学、構造分析等に関する広範かつ重厚な知識を背景として、文化人類学者が立てるべき問いが何であるかという点を執拗に追究してきた。それは、過去の一連の論文および前著『秩序の方法』(2003年)においても顕著である。例えば、『秩序の方法』で浜本氏は、儀礼的行為の無根拠性(恣意性)を焦点化し、儀礼の背後につい想定したくなる文化的意味や社会的規則の無根拠性を指摘する一方で、なぜ人びとがそれらの無根拠な規則に捕らえられ、いかなる秩序をリアリティとして生きているかを解明しようと試みた。
 『信念の呪縛』はドゥルマ社会の妖術信仰と実践を研究対象とした「信念の生態学」に関する民族誌である。執拗なまでに細部に拘った記述を通して、浜本氏は妖術という信念の性格について、そもそも「信じる」という行為が語られ、可能になる条件を論理的に検討しながら、ドゥルマの妖術もまた些細な出来事を契機として「自己を再生しつづけていく巨大な物語装置」であると同時に、この巨大な物語装置は些細な出来事で停止する可能性をもつ信念であることを看破してゆく。そして、妖術に呪縛されない浜本氏自身の信念をドゥルマの妖術信念への対抗言説として用いながら、現代社会における信念の在り方についての議論を一般読者にも分かりやすい形で提示することに成功している。
 浜本氏の上記業績は、フィールドワークに基づく民族誌という古典的なフォーマットを採用しながらも、人びとの語りと実践を忠実に再演しつつ、そこから文化人類学的思考の可能性を極めた研究として人びとを啓発し、挑発する知的刺激に満ちており、文化人類学的知の一つの到達点を示している。
 以上の貢献を高く評価し、浜本満氏に第10回日本文化人類学会賞を授与する。

第10回日本文化人類学会奨励賞の授賞

2015年05月31日

 日本文化人類学会は下記の2名に第6回日本文化人類学会奨励賞を授与することとした。
(受賞者)
大場千景
(授賞対象論文)
「無文字社会における『歴史』の構造―エチオピア南部ボラナにおける口頭年代史を事例として」
(『文化人類学』第78巻1号、2013年)
(授賞理由)
 本論文は、エチオピア南部ボラナ社会の口頭年代史に関する詳細なフィールドデータに基づいて、ボラナの人びとが過去や現在、さらには未来のさまざまな出来事を、彼らの社会構成原理(年齢階梯制、特に父子は互いに4世代離れた年齢階梯に属さなければならないという「ゴゲーサ」のサイクル)と文化概念装置(運命論ないし災因論としての「マカバーサ」のサイクル)の複合から成る「回帰する歴史」の構造の中に組み込んで伝承ないし記憶していることと、逆に、さまざまな出来事を歴史の中に組み込むという実践を通して、ボラナの人びとが「回帰する歴史」の構造を持続的に創出、再編していることを明らかにした論考である。
 広範囲にフィールドワークを実施して信頼に足る十分なデータを収集し、また、そのデータをオーソドックスではあるが緻密かつ大胆に分析してボラナ社会の当事者の歴史認識のあり方や再編の実態を明らかにする大場氏の手際は鮮やかである。また、ボラナ社会の歴史の「構造」が本来的に歴史を一元化すると同時に多元化(複数化)するものでもあることを明らかにし、ローカルな場における出来事の解釈や記憶、伝承といった歴史的実践を丹念に調べ、綿密に分析することによって、初めて当該社会の歴史認識のあり方や思考の広がりの解明が可能となることを説得的に示した点も高く評価される。
 以上の理由により、本論文を高く評価し、日本文化人類学会研究奨励賞を授与する。
 
(受賞者)
左地(野呂)亮子
(授賞対象論文)
「空間をつくりあげる身体―フランスに暮らす移動生活者マヌーシュのキャラヴァン居住と身構えに関する考察」
(『文化人類学』第78巻2号、2013年)
(授賞理由)
 本論文は、フランス南西部において、1年のうち一定期間だけを移動生活に充てているマヌーシュが生活拠点とする居住地を考察の対象とし、そこで、拡大家族集団が共住の単位となり、まとまって置かれた複数の移動式住居(キャラヴァン)の内部と共同で利用する周辺の野外環境とが全体としての生活領域を構成することを記述する。その綿密な記述から、マヌーシュの生活領域が家屋の内部と外部に二分されるものではなく、また日中の大部分を過ごす野外空間がさらに外部に広がる環境からも明確に分断されないという特徴を持つことを析出する。さらに隣人の宿営区画や人が行き来する道、広場など、定住社会の住民を含む周辺の人々と遭遇する可能性が高い空間に身体の正面を向け、「視線が相互に交じり合う空間」をつくりだすマヌーシュの日常的「身構え」は、共在感覚を創出することによってマヌーシュの居住空間を閉じたものとせず、潜在的緊張関係にある他者を含む外部へと拡張するような空間構築を可能にしていることを明らかにする。
 本論文は、家屋の構造や配置といった物理的な空間構成要素の分析にとどまらず、居住空間構築プロセスにおけるマヌーシュ特有の身体の積極的役割を明らかにし、それが周辺社会の近代的な空間認識と軋轢を引き起こす要因ともなっていることを示すと同時に、その自他を包摂する空間社会生成の可能性を説得的に示すことに成功している。
 以上の理由により、本論文を高く評価し、日本文化人類学会研究奨励賞を授与する。



第9回日本文化人類学会賞の授賞

2014年04月11日

 日本文化人類学会は第9回日本文化人類学会賞について該当者なしとした。

第9回日本文化人類学会奨励賞の授賞

2014年04月11日

 日本文化人類学会は第9回日本文化人類学会奨励賞について該当者なしとした。

第8回日本文化人類学会賞の授賞

第8回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第7回日本文化人類学会賞の授賞

第7回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第6回日本文化人類学会賞の授賞

第6回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第5回日本文化人類学会賞の授賞

第5回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第4回日本文化人類学会賞の授賞

第4回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第3回日本文化人類学会賞の授賞

第3回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第2回日本文化人類学会賞の授賞(該当者なし)

第2回日本文化人類学会奨励賞の授賞

第1回日本文化人類学会賞の授賞

第1回日本文化人類学会奨励賞の授賞